マザー・テレサの名前はほとんどの人が知っておられると思います。その全世界的な慈善活動についても有名ですね。
1979年にノーベル平和賞を受賞して、生きる聖女と呼ばれたテレサでしたが、そのことを政治や名声に利用することなく、ただひたすら貧しい人たちに尽くした奉仕に満ちた人生が驚異的だと思います。
ヨーロッパで生まれたテレサは、18歳で修道女会に入りインドに赴きます。そこで20年近い日々を修道女として送ったある日、テレサは『病人や死にゆく人、飢えた人、服や家のない人の世話をしなさい。最も貧しい人々への神の愛を実践するのです』という召命を聞いたといいます。
信仰によるインスピレーションのみに従い、誰もが反対する中、テレサは修道女会を出て、インド有数の大都市であるコルカタ(昔はカルカッタと言いました)のスラムにお金も道具も持たず、ひとりで入っていきます。
貧困にあえぐ人たちに近づき、ひたすら尽くすという、理屈から考えれば全く際限のない、ある意味で無鉄砲で危険ですらある行為は、やがて人種も宗教も越えて世界中に広がっていきます。
マザー・テレサは1997年9月5日、その激動の人生を終えました。
私はその前年にコルカタのマザーズ・ハウスを訪れ、「死を待つ人々の家」などで1週間だけボランティアをしたことがあります。その時すでに体調が悪かったマザーは、それでもかかさず礼拝に出席していたので、毎日お顔を拝見することができました。短い滞在でしたが、貴重な経験になっています。
そのマザー・テレサの没後10周年にあたって、ドキュメンタリーが制作されています。
「マザー・テレサ:母なることの由来」(1986年製作)のデジタル復刻版、そして、2007年の新作である「マザー・テレサ:母なるひとの言葉」です。
昨日、マザー・テレサ・メモリアルとして桜坂劇場で公開されているこの2本を見てきました。
生前のマザーが自ら語る言葉を記録した映像がふんだんに使用され、多くの関係者の証言で構成された貴重なドキュメンタリーです。
「ひとは誰も愛し、愛されるため生まれてきます」「赦すにはたくさんの愛が必要です。赦しを請うには、さらに謙虚さが必要です」。
こうした言葉はとても自分の胸を打ちます。マザーはいつも微笑みを絶えさず人と接していました。こうした謙虚と柔和・・・。ドキュメンタリーは忘れかけていた大切さを思い出させてくれました。



