発達支援研究会(仮) in 沖縄

沖縄の発達支援に関心のある方々のための情報発信スペース。 HPも立ち上がりました。https://sites.google.com/site/hattatsuken/

子どもの心診療支援拠点病院事業
2008年06月29日 (日) | Edit |
 6月27日付けで、東京都の福祉保健局病院経営本部が「子どもの心診療支援拠点病院事業」の開始をアナウンスしています。

 7月開始のこの事業は、発達障害や児童虐待、いじめ、不登校、ひきこもりなど、様々な子どもの心の問題に関わる地域の関係者を支援するためのものです。

 これは、もちろん、子どもの心診療整備計画に沿った事業計画ですね。都道府県では東京都が最初となります。

 児童・思春期精神科の専門病院である都立梅ケ丘病院が拠点病院として、事業の実施に当たります。

 具体的な事業もいくつか公開されています。8月には、都内の保育士・幼稚園教諭・小学校教諭を対象とした夏季セミナーを実施・募集するようです。

 以前から行っていた関係機関への医学的支援に加えて、様々な子どもの心に対応する地域の関係機関への専門支援や、都民への普及啓発を行うとのことです。

 加えて、児童精神科医師向けの連絡会の開催や、医師・医療スタッフなどに対する研修、教員等に対する研修など、児童精神医療の拠点としての広域的な情報発信を行う予定なのだそうです。

 診療以外の診療報酬に則らない事業を病院が行うのはとても難しいことです。政策医療として事業が明確に制定されていることが大切です。

 ・・・こころ科ではこうした流れを見越して、パイロット事業として2年間地域発達支援の整備に協力してきました。そして、幸いにしていくつかの地域の親子教室や親子通園の立ち上げに協力することができました。

 3年目には是非事業化をと願ったのですが(県議会にまで取り上げていただきましたが)、残念ながら県各機関の理解は得られませんでした(悲)。

 国の予算がついているので、いくつかの都道府県で診療拠点病院事業が立ち上がると思います。今年はその動向に注目しようと思っています。

「自閉症の特性理解と支援」講演会
2008年06月29日 (日) | Edit |
 昨日は、発達障害者支援センター主催の講演会を聞きに行きました。

 愛媛県今治市という人口18万人の市で(確か手拭いと焼き鳥で有名でしたね)、児童精神科のクリニックを開業をされている藤岡宏先生(つばさ発達クリニック院長)の講演でした。

 タイトルは「自閉症の特性理解と支援」で、ぶどう社から出ている著作と同じでした。

 藤岡先生は30年近く自閉症を初めとした発達障害臨床に関わって来られたそうで、TEEACHプログラムを学び臨床実践に生かしています。

 非常に膨大なスライドでしたが、視覚的認知を駆使して(さすがTEEACH!)構成が練られた内容だったので、かなりわかりやすい講演でした。

 コミュニケーション論から開始し、自閉症という障害を「目に見えない障害」「世の中を知る手がかりが読み取れない障害」と捉え、確実な心の杖としての「視覚的手がかり」が必要なのだと話されていました。

 そして、自閉症をもつ子ども達はこのことを理解されず。状況が読み取れない状況で混乱し無理を迫られることにより、思春期に大きな課題が出現すると話されていました。

 また、自閉症の「問題行動」は何かしら意味のある行動であり、その水面下にある自閉症特性を見抜く必要性について触れられました。

 個人的に印象に残ったのは、TEEACHは表面的に取り入れてもうまくいくものではなく、例えば、スケジュールなどは、子どもが知りたいこと、楽しいことを予測するための手がかりとして使っていかないと、子どもから拒否されるということです。

 考えてみれば当たり前のことですが、視覚化やスケジュールは本人への指示や従属を強いるための仕組みではなく、本人がそれによって助けられ、理解を深め、達成感や喜びを得るためのものなのですね。

 TEACCHが子どもたちからのコミュニケーション自発を促し、「ノー」と表現できることを教え、その選択を大切にするもよくわかりました。

 子ども達がしっかり否定を表明できて、それが受け止められたり、時には投げ返されたりという、コミュニケーションという相互交渉を通して、子どもの耐性は育っていくという考えはとても共感できました。

 少し残念だったのは(講師の藤岡先生の責任ではないですが)、沖縄の現状と今日の関連が見えにくかったことです。

 沖縄の現状に触れなかったのは、おそらく情報伝達が十分されていなかったためでしょうが、親子通園での数々の構造化実践を見て、あまりにギャップが大きいと感じました。

 母親の就労率が高く、子育てに関するジェンダー意識が強く、発達障害に関する社会的理解や支援に乏しい沖縄で、TEEACHを本格的に実践するのは少し
無理があります。

 発達に関する社会的意識を高め、少しの時間でも親子が向き合えるよう敷居の低い発達支援を複数用意し、丁寧な療育活動を地域でどのように進めていけるのか・・・親御さんの関心もやはりそこにあるでしょう。


地域における療育ニーズ
2008年06月28日 (土) | Edit |
 八重山での療育相談が3年に入りましたが、気づいたことは療育ニーズが明らかに高まっていることでした。

 初めて相談に入ったときは診断例も希であったため、問題対応中心の相談が主だった気がします。

 しかし、今回は親御さんがある程度発達への気づきをもって、相談に来られた方が何人かいました。

 そうした親御さんはそれまでに相談に来られた親御さんと結びついていました。

 相談は専門家・親間で行われるだけでなく、親・親間でも行われるわけです。小さな悩みなどはその方がむしろよく、親同士で解決されていきます。

 ところが、発達上の問題が大きい場合は、専門家のアドバイスも必要になります(専門家の指導に従わないといけないという感じではないですね)。

 あくまでも、相談という枠組みの中で親が自主的に取捨選択をしていくわけです。

 このような連鎖によって、地域の療育ニーズは必ず高まっていきます。

 そして、そのような療育ニーズの掘り起こしこそが、保健の責任と言えそうです。発達に詳しくなることが、どの職種においても求められています。

療育等支援事業 in石垣
2008年06月26日 (木) | Edit |
 昨日から療育相談のために石垣島に来ています。こころ科は2年前から年2回の八重山の療育相談に参加しています。

 八重山圏域の療育相談は、多職種による総合療育相談の形をとっているため、複数の障害などの多くのニーズに応える形になっています。

 今年は遺伝専門健診との合同開催が復活し(事業形態と実施者が違うのですね)、大きな規模での相談事業になりました。

 親御さんにとっては、事業名目が違えど相談には変わりないわけで、その点では多角的視点で子どもを見ることができ、合同で行う意味は大きいのですね。

 経費面のことなど、離島は特別に配慮して事業計画を立てる必要があります。障害者自立支援事業も地域格差が起きないようにという要望が多いのですが、離島に来るとそのことは痛切に思います。

 相談の対象者は年々増えています。これは、今まで気づきがなかった家族に対する、相談対象の掘り起こしが進んできたということです。

 自ら進んで自主的に相談の場に来る人は実は少なく、場につなげる努力が必要なのですね。

 八重山はその点で多職種によるチーム連携が取れているので、着実に実績を上げてきているわけです。

 八重山のこれからの課題は、相談を終えた後の実際の療育の場、あるいは、相談以前に通う遊びを中心した教室をどのように設置していくかですね。 

マザー・テレサ・メモリアル
2008年06月24日 (火) | Edit |
 マザー・テレサの名前はほとんどの人が知っておられると思います。その全世界的な慈善活動についても有名ですね。

 1979年にノーベル平和賞を受賞して、生きる聖女と呼ばれたテレサでしたが、そのことを政治や名声に利用することなく、ただひたすら貧しい人たちに尽くした奉仕に満ちた人生が驚異的だと思います。

 ヨーロッパで生まれたテレサは、18歳で修道女会に入りインドに赴きます。そこで20年近い日々を修道女として送ったある日、テレサは『病人や死にゆく人、飢えた人、服や家のない人の世話をしなさい。最も貧しい人々への神の愛を実践するのです』という召命を聞いたといいます。

 信仰によるインスピレーションのみに従い、誰もが反対する中、テレサは修道女会を出て、インド有数の大都市であるコルカタ(昔はカルカッタと言いました)のスラムにお金も道具も持たず、ひとりで入っていきます。

 貧困にあえぐ人たちに近づき、ひたすら尽くすという、理屈から考えれば全く際限のない、ある意味で無鉄砲で危険ですらある行為は、やがて人種も宗教も越えて世界中に広がっていきます。

 マザー・テレサは1997年9月5日、その激動の人生を終えました。

 私はその前年にコルカタのマザーズ・ハウスを訪れ、「死を待つ人々の家」などで1週間だけボランティアをしたことがあります。その時すでに体調が悪かったマザーは、それでもかかさず礼拝に出席していたので、毎日お顔を拝見することができました。短い滞在でしたが、貴重な経験になっています。

 そのマザー・テレサの没後10周年にあたって、ドキュメンタリーが制作されています。

 「マザー・テレサ:母なることの由来」(1986年製作)のデジタル復刻版、そして、2007年の新作である「マザー・テレサ:母なるひとの言葉」です。

 昨日、マザー・テレサ・メモリアルとして桜坂劇場で公開されているこの2本を見てきました。

 生前のマザーが自ら語る言葉を記録した映像がふんだんに使用され、多くの関係者の証言で構成された貴重なドキュメンタリーです。

 「ひとは誰も愛し、愛されるため生まれてきます」「赦すにはたくさんの愛が必要です。赦しを請うには、さらに謙虚さが必要です」。

 こうした言葉はとても自分の胸を打ちます。マザーはいつも微笑みを絶えさず人と接していました。こうした謙虚と柔和・・・。ドキュメンタリーは忘れかけていた大切さを思い出させてくれました。

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