エントリー上部画像
 特別支援教育の取り組みが各県で進んできています。

 療育・発達支援発祥の地として知られる滋賀県も、ユニークな取り組みを積極的に行っている県ですね。

 その滋賀県教育委員会が、高機能自閉症やアスペルガー症候群など発達障害を持つ中高生の指導方法をまとめたガイドブックを、2008年3月に県教委が作成しています。

 現状を見ていると、中学校・高等学校における発達障害関連の取り組みはなかなか難しいように思います。

 発達障害を持つ小学生への指導を助言するガイドブックは多数発行されています。しかし、中高生向けのものは、自閉症協会から出ているものなど以外はあまりありませんでした。

 ガイドブックでは、特別支援教育の理解や指導計画の作り方、具体的な支援策など6項目で構成。保護者との連携、進路指導など個別の問題についてQ&A方式で書かれています。

 私の興味を引いたのは、「なぜ、高等学校で特別支援教育に取り組むのですか」という質問です。答えはこのようになっています・・・

 
 学校教育法等の一部改正が行われ、平成19年4月1日から、高等学校においても特別支援教育を行うことが規定されました(学校教育法第81条第1項)。

 平成14年に文部科学省が実施した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」の結果、小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒の約6%が特別な支援を必要とすると報告されました。滋賀県の高等学校への進学率が約98%である現実は、特別支援教育を必要とする生徒が、高等学校にも在籍していることを示唆しています。小中学校で特別支援教育を受けた子どもたちの多くが高等学校へ進学しているのです。

 高等学校には、入学試験に受かった生徒が入ってきており、特別支援学級がないことから、障害のある生徒に配慮した教育という考え方は、馴染みがなかったかもしれません。しかし、高等学校での不登校や中途退学、学業不振、非行、暴力、いじめなどの教育課題のなかには、発達障害と関連しているものが少なくないと考えられます。

 特別支援教育の考え方は、生徒一人ひとりの教育的ニーズを的確に把握し、適切な教育的支援を行うことです。学習指導や生徒指導、進路指導を行う際に、問題の背景に発達障害による困難さがあるかもしれないという視点を持ち、実態把握や適切な支援を行っていくことが高等学校に求められています。


 と、その根拠と支援の必要性が明確に述べられています。

 その他、具体的支援としては「二次障害」を挙げ、その支援の中心に置いているところが、よく理解されているなと思ったところです。当然、小学校のときは「発達のアンバランス」そのものが支援の対象になっていくのと違うところですね。
  1. 会員向け
  2. トラックバック:0
  3. コメント:2
エントリー下部画像
エントリー上部画像
 今週から3週間連続3回の講義を県立看護大学で行います。助産師コースの「母子医療と生命倫理」の科目です。

 生命倫理とはバイオエシックスのことです。生命科学の進歩によって出生と死への人為的介入が可能になった結果、生じた新しい倫理的諸問題に対処するための学問なのですね。

 1970年からの比較的若い学問で、人工授精・妊娠中絶・脳死ならびに臓器移植などの問題について論じるものです。患者の自己決定権などをめぐる医療倫理とも関連します。


 助産師コースなので、テーマは母子医療に限られています。AIDと精子バンク、減数手術、代理母、出生前診断と選択的人工妊娠中絶、「宗教上の理由」による治療拒否、遺伝・相続の倫理的問題を取り上げる予定になっています。

 こうした問題は、法的な扱いが明確に定義されている問題も含めて、医療技術の進歩によって状況が変わり、それを巡る倫理の捉え方も大きく変化していきます。

 絶体の答えがない中で、当事者と医療者は悩み、疲弊し、関係がうまく取れなかったりするのですね。医療不信や医療従事者のバーンアウトの問題は、同一線上に位置するときがあります。

 若い学生さん、将来、医療に携わる方々に、自分の乏しい経験の中から伝えられることがあればと思っています。

 バイオエシックスの問題から少し離れるかもしれませんが、障害医療や小児医療の倫理の問題も大きいです。特に、沖縄県は小児の心理・社会的支援の位置づけが不明確で(ボランティアと区別がついていない認識に涙することも多い・・・)、その質の低さがそのまま倫理の問題に結びついていることがあります。

 また機会を見つけて、少しずつ取り上げたいと思っています。
 
  1. 会員向け
  2. トラックバック:0
  3. コメント:0
エントリー下部画像
エントリー上部画像
 障害児についての支援サービス支給に関して、最近同じ質問を何度も受けるので、整理をして書いておこうと思います。

 かなりの市町村で誤解されている事項だと思いますし、福祉の素人である親御さんは知らなくて当然なので、本来は児童福祉の専門家が提言していく内容です。

 それは、ずばり、「障害児についての支援サービス支給に関しては診断・手帳は不要」ということです。

 那覇市など大きな都市でも児童デイ利用に診断書を求めることがありますし、最近では中部圏域で診断書を求めるようにと福祉関係の会議で決まったと聞いて仰天しています。

 06年10月から児童デイサービス事業は新しい体系になりました。合わせて、厚労省から出された文書があります。

 それは、07年3月23日付の「介護給付等の支給決定について」(障発0323002)厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長名で出されたものです。

 その中の「第三 障害児に係る支給決定の方法」にこう記されています。

 
障害児については、発達途上にあり時間の経過と共に障害の状態が変化すること、乳児期については通常必要となる育児上のケアとの区別が必要なこと等検討課題が多く、現段階では直ちに使用可能な指標が存在しないことから、障害程度区分は設けないこととし、(中略)
 
 ※ なお、対象児童に該当するか否かの判断に当たっては、必ずしも身体障害者手帳及び療育手帳の交付を受けている必要はない。また、児童デイサービスの支給決定に当たって、市町村は、当該児童が療育指導を必要とするか否かについて、児童相談所・保健所等に意見を求めることが望ましいものとする。


 乳幼児期は、家族にとって子どもの障害を受けとめるまでに時間を要します。子ども自身も、小さければ将来にわたって特別な配慮が必要な障害なのかを判断することが難しいのです。障害が確定してからの支援は遅すぎます!

 ですから、条件をつけずに、気になれば速やかに対応することが原則です。特に軽度と呼ばれる発達障害の子ども達はなおさらそうでしょう。

 こういう主旨で、障害程度区分は当面取り組まないこと、医師の診断や手帳を必要としないことが明記されているのですね。これは、03年6月の部長通知を継承した内容でもあるのです。

 そして、見逃してはならないこの文章・・・

 「当該児童が療育指導を必要とするか否かについて、児童相談所・保健所等に意見を求めることが望ましい…」


 そうです、公的機関は無料で相談を受けることができますし、診断を受けなくてもすみます。アウトリーチも受けることができます。そして、多職種によるトータルな子どもへの理解が行えます。・・・沖縄県はこの専門性とシステムをどのように培っていきますか? これから。
 
  1. 会員向け
  2. トラックバック:0
  3. コメント:0
エントリー下部画像
 |