2008年4月23日の琉球新報に障害児保育についての社説が載っていました。
先だって始まった「共生の輪」というノーマライゼーションを意識した社会作りの連載とリンクしたものだと思います。
障害の有無を越えて共に共存する社会を構築するために、こうした特集を組まれること自体は歓迎しています。
ただ、琉球新報の社説「障害児保育規定 実態に即し見直しも必要だ」を読んだ時の印象は、正直言ってかなり複雑なものがありました・・・
障害児保育に関しては、いずれはきちんと整理しないといけない課題だと思っていますが、今回は基本的な部分の確認に留めておきたいと思います。
社説の出だしはこのようになっています・・・
障害の有無にかかわらず保育を受ける機会は公平かつ均等でなければならない。だが実際には障害のある子どもの入所をめぐっては、さまざまなハードルが付きまとう。
障害児の親を悩ませているハードルの1つは、公立・認可保育所が受け入れの際に設けている「年齢規定」だ。
県は昨年、障害児保育実施要綱に「3歳以上」などと年齢規定を盛り込んだ県内20市町村に対し、年齢規定の削除を求めた。年齢制限を行っているかのような誤解を与えかねないからだ。
ところが琉球新報社の調査によると、県の撤廃要求に応じたのは5市町村にすぎない。本年度中に撤廃を予定しているのが5市町村。3市町村は将来的に撤廃するとしている。
気になるのは、6市町村が撤廃しないとしている点だ。保護者の前に壁となって立ちはだかる心配はないか。
第一に、冒頭の文章は一見正論に見えますが、明確な誤りです。障害の有無を考慮せず、親の就労状況だけで就園の順番を決めることは(沖縄県のたいていの市町村は実はこうなっています)、子どもの発達上に即さない場合があり、
子どもを中心としてその発達に応じて適切な保育(家庭保育、親子通園、分離保育など多彩な要素を含めて)を受けられるよう決定されるべきです。
第二に、「年齢規定」に関しては、県外の市町村でも議論になり撤廃されるところが増えてきていますが、これらの地域はすでに障害の子どもに対する保育サービスや発達支援システムが一応完成を見ている地域です。沖縄県ではもっと大きなハードル、すなわち
「親子が揃って発達支援を受ける場」を地域に作ることを優先すべきです。
第三に、県は年齢規定撤廃要求をしながら、
障害児保育に関する予算を大幅に減額しています。こうした点には一切触れられないのが不思議です。
第四に、規定撤廃しない市町村が差別的であると情報操作する書き方が気になります。5市町村の中には親子通園などを展開し、障害をもった親子への発達支援に積極的な行政もあります。
第五に、3歳児未満クラスの保育とそれ以上の保育では、決められた
保育体制の差があります。3歳児未満の保育はスタッフも厚くできますが、3歳以上では25人に1人の先生が標準なので加配保育が必ず必要です。3歳児未満のクラスでは、障害児を加配保育なしで受け入れている地域も多いのです。
このような調子で書き出したらキリがないくらいです(困)・・・
実は、子どもの発達支援はかなり専門性が高い分野です。分離保育に早期に入れて、健常な子どもと混じっていればノーマライゼーション・・・そこまで極端に思う人々は少ないでしょうが、親子が揃って適切な保育経験をすることが大切なのですね。
愛着形成が十分にできて、自律性や意欲が増してくる時期に応じて、適切な分離保育が開始され、それが保障されることは確かに大切です。分離保育の判断はこのような個別性がかなり関係します。
むしろ、その時期までは親御さんもたいへんでしょうが、経済的・心理的・社会的支援が十分行われながら、親子がじっくり向かい合うことを支えるシステムが必要です。
障害を正しく理解する、障害児保育を正しく理解する・・・偏見を再生産しないために、私たちは「何が社会的に障害になっているか」を慎重に考えないといけないですね。